カウンセラー コラム

キーワードは、“無知の知” 『メタ思考』活用法

2018年11月7日

皆さんは、『メタ思考』という言葉をご存知でしょうか。「聞いたことがあるけど、意味はよくわからない」という方が多いかもしれません。
2018年下期がスタートして早1ヵ月、今期、さらなる成長とスキルアップを目指したければ、このメタ思考を身につけることをお勧めします。

『メタ思考』って、いったい何?

さて、メタ思考とはいったい何なのでしょうか?

メタ(=高次)思考を簡単にいうと「ものごとを1つ上の視点から俯瞰(ふかん)する能力」のことです。この俯瞰する能力がないと、“自分が気づいていない”ことに気づけません。自分の視野の狭さを自覚できないのです。ちなみに「メタ認知」は自分自身を“幽体離脱”するかのごとく上から見ることを指します。

ところで、皆さんは、思い込みで失敗したことはありませんか?
例えば、「『著す』は『しるす』と読む! 間違いない!』と信じて強く主張したが実は「『●●●す』(回答は末尾 ※1)だった」とか、「相手の理解力が足りないから上手く行かなかった!」と結果を人のせいにして終わらせてしまったとか。きっと、思い当たることがある人は多いと思います。

でも、安心してください。思い当たる人は、“自分が気づいていないことに気づいている”人です。メタ思考を身につけるためにまず必要なのは、この「無知の知(自分がわかっていないことを自覚していること)」なのです。

では、なぜ、人は思い込んで失敗してしまうのでしょうか。
下記に図解します。

メタ思考ができていないとき、つまり思い込んでいるときは、視野が限定されている(図1では白地部分のみ)ので、必要な情報が見えていなません。だから、失敗するのです。

例えば、巨大迷路を思い浮かべてみてください。迷路に入り込むと、どっちに進めば出口なのかがわかりません。

でも、もし、最近ロンドンで売り出されたという映画『アイアンマン』のように空を飛ぶことができるジェットスーツ(ちなみに5,000万円するそうです/※2)を着て、高いところから俯瞰することができたらどうでしょうか?

上から迷路を眺められれば、右に行けばいいのか左に行けばいいのか、一目瞭然です。そんなふうに自分の今いる位置から高次のポジションに移って眺めることで、気づけることが増えていきます。つまり、これがメタ思考です。

メタ思考ができている状態を図にすると、下図のようなイメージです。

「最近の若手は!」と感じたことがある人は要注意

ところで皆さんは「最近の若手はなってない」と感じたことはありませんか。
これはわかりやすい、典型的な“思い込み例”です。この発言が出た段階で「思い込みにはまっている」「自分を客観視できていない」可能性があります。

なぜでしょうか? 理由は以下の通りです。

・自分の若いときのことは棚に上げている
・その構図はいつの時代でも同じなのに「最近の」と自分たちの時代だけを特殊視している
・そういう若い世代をつくったのは自分たちの世代だということに気づいていない

もう少し、視野の狭さや、自分勝手な思い込み例を挙げてみましょう。

・実際はハラスメントなのに、上司は「本人のための指導だ」と思っている
・「与えた恩はいつまでも覚えているが、受けた恩はすぐ忘れる」
・「自分だけが損をしている」「彼/彼女だけが得をしている」とよく思う
・他人に対しては「一部分だけを見て正論を吐くな」と思うのに、自分は一部分しか見ない(ことに気づいていない)で他人に正論を吐く
・「上司または部下の短所」はいくらでも挙げられるが、自分は「よい上司または部下」だと思っている

いかがでしょうか。誰にとっても1つか2つはドキッと思い当たる節があるのではないでしょうか。

ここからわかるのは、書き手である私を含めて、ほとんどの人は「自分」という世界にどっぷりつかった状態で自分自身を見ているので、自分のことは、実際にはよく見えていないということです。この“自己矛盾”に気づくことから高次(メタ)で考えることがスタートします。

メタ思考を養うためにはどうすればいいのか?

では、どうすればメタ思考を獲得できるのか、手始めとして、簡単なトレーニング方法を2つ、ご紹介します。

① 「自分は絶対に正しい」と思ったときに「本当にそうか?」と自分に突っ込みを入れる
② 日常生活において、常に“自虐ネタ”を考え、自分をいい意味で笑えるようにする

この2つのトレーニングを毎日意識して取り入れられれば、無意識の自信過剰に気づき、謙虚に自分を客観視できる足がかりになりそうです。その結果、思い込みから脱却できる可能性が出てきます。思い込みから脱却することができると、業務やプライベートで起きる失敗を軽減できるようになり、周りから「柔軟な思考ができる人だな」とか「冷静なものの見方ができる人だな」と評価が上がる可能性もあるでしょう。

このメタ思考にピンと来た方はぜひ上記2つのトレーニングから始めてみてください。

※1/「著す」の読み方は「あらわす」
※2/テレ朝news 空飛ぶジェットスーツ 百貨店で販売 お値段は?(2018/7/19)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000132107.html

【参考文献】
■細谷 功著(2016)『メタ思考トレーニング』/PHPビジネス新書