産業医 コラム

花粉症~花粉の飛散時期は、地域や気候によって異なりますので、生活スタイルにあった対策を始めましょう~

2018年2月6日



増え続けるアレルギー疾患
私たちの体には、自分の体の成分と違う物、例えば、細菌、ウイルス、食物、ダニ、花粉など(アレルゲンといいますが、体の中に入ってくると、これを異物と認識して攻撃し排除する仕組みがあります。これを「免疫」と呼んでいます。

また、免疫反応の一部で、異物に対して反応する際に自分の体を傷つけてしまうのが「アレルギー反応」です。現在、我が国では国民の約二人に一人が、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患に罹患していると言われており、その患者数は増え続けています。

アレルギー疾患の中には、急激な症状の悪化を繰り返したり、重症化により死に至ったりするものがあり、職場や学校等のあらゆる場面で日常生活に多大な影響を及ぼしています。平成27年12月から、アレルギー疾患対策基本法が施行されました。国民病ともいえるアレルギー疾患の対策に、より一層の充実が切実に求められているのです。

今回は、代表的なアレルギー疾患である花粉症について説明します。


花粉症とは
花粉を原因として引き起こされるアレルギー反応による症状を花粉症とよびます。

■花粉症のメカニズム(下図参照)
①花粉などのアレルゲン(抗体)が鼻粘膜に付着

②リンパ球がIgE抗体をつくり、IgE抗体が肥満細胞に張りつく

③アレルギー症状を起こす原因となる科学物質(ヒスタミンなど)が分泌される

④花粉をできる限り体外に放出しようとし、アレルギー症状が起こる

主に以下の症状を生じます。
【アレルギー性鼻炎】くしゃみ、水様性鼻みず、鼻づまり
【アレルギー性結膜炎】かゆみ、充血、涙など

そのほかに、のどの症状(かゆみ、刺激感)、咳、胃腸症状(痛み、下痢)、顔などの露出部皮膚の発赤、かゆみ、さらに頭重感、頭痛などの全身症状を訴える患者さんも多くみられ、日常生活に支障をきたします。


花粉症の種類と地域差
花粉症を引き起こす植物は、日本では約50種類が報告されています。春に飛ぶ、スギやヒノキの花粉がよく知られていますが、夏から秋にかけて飛ぶ、イネ科植物やキク科植物(ヨモギやブタクサ)などの花粉でも症状が起こります。

また地域によっても飛ぶ花粉の種類や時期が違います。北海道ではシラカバ花粉によるものが多くみられます。沖縄にはスギが全く生息しません。

また、花粉がどのくらいの距離まで飛散するかは花粉の種類によって大きく異なり、スギでは数十キロメートル以上の飛散があるとされていますが、カモガヤやヨモギなどの草本花粉は数十メートル、せいぜい飛んでも数百メートルといわれています。ご自分の住んでいらっしゃるところで、どんな花粉がいつごろ飛んでいるのかを知っておくと役に立ちます。

参考:花粉情報 日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/pollen/expectation.html


花粉症の治療について
治療の原則は原因物質の排除です。そのためには、花粉飛散情報を利用して外出や窓の開閉の工夫をして花粉曝露を避ける、マスクや眼鏡を利用して侵入する花粉の量を減少させる、職場・学校・自宅の中に花粉を持ち込まない、などの対策が重要です。しかし完全に花粉曝露をシャットアウトするのは困難です。

もっとも広く行なわれているのは「薬物療法」です。いろいろな特徴をもった薬剤がありますので、症状に合わせて使うことで高い効果がみられます。花粉症の症状が起こり始めたごく初期に治療を開始すると粘膜の炎症の進行を止め、早く正常化させることができるため、花粉症の重症化を防ぐことができます。ただあくまで症状を抑えるもので、根本治療にはなりません。

抗原が分かれば、そのエキスを少しずつ増量しながら注射して反応を起こしにくくする「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」は、もっとも根本的な治療法といえます。注射の代わりに口腔粘膜から抗原を吸収させる「舌下免疫療法」も開発されています。


花粉症がひどくならないために
一般的に花粉症がひどくならないためには、普段の生活のなかで、以下のようなことに気をつけると良いでしょう。

・睡眠をしっかりとる
・規則正しい生活をする
・バランスのよい食事をとる
・手洗いやうがいの励行
・お酒の飲みすぎに気をつける
・タバコを控える(粘膜を正常に保つために重要です)
・アレルギー血液検査などを受け、自身のアレルギーを知っておく(耳鼻科や内科で受診可能です)

参考:日本アレルギー学会HP(http://www.jsaweb.jp/
ウェルネスセンター産業医