産業医 コラム

受動喫煙対策~受動喫煙対策の重要性を再確認しましょう~

2018年5月10日

5月31日は世界禁煙デーです。その日から1週間(5月31日~6月6日)は禁煙週間として、国内だけでなく様々な国で、喫煙に関する取り組みが行われています。今月はたばこに関する最近の話題を取り上げたいと思います。

受動喫煙の健康被害(一例)

たばこの健康への影響は広く知られています。また、受動喫煙の危険性に関しても色々な情報をご存知の方も多いかと思いますが、下記のようにがんを中心とした様々な健康リスクが言われ、受動喫煙対策の重要性は高まっています。

<受動喫煙による疾患発症リスク>(厚生労働省「受動喫煙対策の強化について」より)
肺がん1.3倍/虚血性心疾患1.2倍
脳卒中1.3倍/乳幼児突然死症候群(SIDS)4.7倍

<受動喫煙による、上記疾患での死亡者数(推計)(※)>
少なくとも年間1万5千人(交通事故死亡者数の約4倍)
(※)推計方法 各疾患の死亡者数の何%が受動喫煙によるかを計算し、年間死亡者数に乗じて算出

受動喫煙の健康被害を示すガイドライン等

<世界保健機関(WHO)たばこ規制枠組条約>
第8条:たばこの煙にさらされることからの保護
締約国は、たばこの煙にさらされることが死亡、疾病及び障害を引き起こすことが科学的証拠により明白に証明されていることを認識する

<IARC(国際がん研究機関)の発がん性分類>
「たばこ煙」「受動喫煙」「無煙たばこ」:グループ1【ヒトに対して発がん性がある(carcinogenic to humans)】と分類

喫煙対策の歴史

受動喫煙への対策として国は、2000年以降「健康日本21」での対策や健康増進法に受動喫煙防止を努力義務として明文化してきました。健康増進法においては、学校や官公庁等の公共の場だけでなく、店舗や飲食店や事務所等も含まれており、それら作業者への配慮も求められるようになりました。更には2015年に労働安全衛生法が一部改正され、労働者の受動喫煙防止措置が、事業主の努力義務として盛り込まれました。

2000年:健康日本21策定
未成年の喫煙防止、受動喫煙防止、禁煙支援などの対策が盛り込まれた

2003年:健康増進法施行(第25条)
受動喫煙防止の努力義務(罰則なし)
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受動喫煙の防止 第二十五条一
学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。
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2015年:労働安全衛生法改正法施行
事業主に“努力義務”(従業員の受動喫煙防止措置)
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受動喫煙の防止 第六十八条の二
事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。
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2018年3月:健康増進法改正案
屋内禁煙もしくは喫煙室設置義務(罰則あり?)

今後の受動喫煙対策

現在、健康増進法の改正案が検討されており、現時点では内容は流動的ですが、2018年3月に閣議決定された内容では受動喫煙防止に関する項目も盛り込まれています。ニュースでは飲食店の分煙・禁煙の話が中心ですが、事務所等の職場でも同様の対策が必要となりそうです。

改正法(案)では管理者の義務だけでなく、喫煙室の利用者の遵守事項等も盛り込まれており、各社の喫煙対策について求人情報に盛り込む等の内容も見られますので、単に安全衛生の一活動に留まらず、健康経営のような会社全体の安全衛生意識に直結する活動を求められそうです。

今回の法改正を契機に、各職場を含めた全社の喫煙対策の取り組み、ルールを再確認していただければと思います。

(例)
・部署内の飲み会などを開催する場合は、禁煙(分煙)の飲食店で行う
・喫煙マナーを守る

参考:厚生労働省 受動喫煙対策
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html

ウェルネスセンター産業医