産業医 コラム

冬場の感染症~冬に流行する感染症の症状や予防について知っておきましょう~

2018年10月5日

寒い時期になると流行する感染症について解説します。

感染症が流行する要因

冬は気温が下がり、空気が乾燥することでウィルスが空中に飛散し活動しやすい環境になります。
乾燥した空気を吸うため口腔粘膜も乾燥しウィルスの侵入を容易にしてしまいます。インフルエンザは湿度が50%以下になると流行が始まります。
また、体温を維持することに体力を消耗し、その結果免疫力が低下することで感染が起こりやすくなります。

今回は代表的なものとして、『インフルエンザ』・『ウィルス感染症』・『ノロウィルス感染症を取り上げます。

 

 

 

 

インフルエンザウィルスによって起こる感染症ですが、A,B,C型の3種に分類できます。
どの型も人間に感染しますが、主にA,B型の感染が多いと考えられます。
A型は突然変異を起こしやすく、H1N1-H16N9まで多くの亜種が存在します。中でもH1N1はソ連かぜとして知られていますが、同じH1N1でも遺伝子に異なる部分のあるものがあり、新型インフルエンザと呼ばれました。H3N2は香港型と呼ばれますが、これも日本では流行するウィルスです。病原性の高いものとしてはH5N1があり、ニワトリを介して人に感染するため鳥インフルエンザと呼ばれます。
B型とC型は突然変異が少なく、特にC型は1種類しかありません。

■症状
飛沫、空気、接触のいずれかの感染経路を経て、1-7日の潜伏期後に発症します。
初期は、急激な発熱・頭痛・倦怠感・筋肉痛などの症状が出て、その後咽頭痛・咳・鼻水が続くことが多く、下痢・腹痛・嘔吐など消化器症状を伴うこともあります。
時に重症化し、肺炎や脳症を起こすことがあります。
特に高齢者、呼吸器疾患や免疫低下のある方はハイリスクとなります。

■診断
迅速診断キットで鼻ぬぐい腋を採取します。(判定時間:15分程度)

■治療
抗ウィルス剤による治療が一般的です。
現在は、吸入薬(リレンザ、イナビル)、経口薬(タミフル)、注射薬(ラピアクタ)などが使われます。

■予防
ワクチンによる予防接種が有効です。日本では10月より接種が開始されます。
ただ、その年に何が流行するかを事前に予測して製造するため、効果が低下することもあります。

 

 

 

9月頃から流行し、初春まで続く呼吸器の感染症です。3歳以下の乳幼児に多い疾患ですが、成人でも罹患します。非常に感染力が強く、何度も感染と発病を繰り返します。

■症状
飛沫、接触感染での発症が多く、家庭内感染のリスクが高い疾患です。
2-8日の潜伏期間ののち、咳・鼻水の症状に加え発熱を伴うこともありますが、長く続くことはありません。
咳・痰が持続し、呼吸困難など症状が悪化することがあります。

■診断
迅速診断キットで診断が可能です。(判定時間:15分程度)

■治療
有効な抗ウィルス薬はなく、鎮咳剤や補液(点滴)などの対症療法が一般的です。

■予防
ワクチンは開発されていません。

 

 

 

冬の食中毒の原因になる感染症です。ウィルスに感染した食品を食べたり、患者の嘔吐物や糞便を始末したりすることで感染します。また水道水や井戸水からの感染も報告されています。

■症状
1-2日の潜伏期を経て、下痢、腹痛、嘔吐など消化器症状がみられます。
38度台の発熱があることもありますが、長くは続きません。症状全体も4日程度で改善します。

■診断
迅速診断キットで糞便を採取します。(判定時間:15分程度)
*保険が適応されるのは3歳以下と65歳以上と制限されています。

■治療
抗ウィルス薬はなく、対症療法として水分補給をおこないます。
下痢止めの使用については意見が分かれているため、医師にご相談ください。

■予防
ワクチンは開発されていません。感染を拡大させないためには、以下に気をつけてください。
・患者との接触を最小限にすること
・吐物や糞便の処理には使い捨ての手袋、マスクを使用すること
・ドアノブなど接触感染の恐れのある場所は、次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒すること

 

おわりに

感染症の予防には手洗いが大切です。
しっかり手を洗ったら、充分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取って乾かします。

正しい手洗いの仕方

 

参考:厚生労働省HP 「食中毒予防のための衛生的な手洗いについて」

日頃から小まめに手洗いをして、感染を予防しましょう。