産業医 コラム

メンタルヘルス(セルフケア)~自分にあったセルフケア方法を見つけましょう~

2019年4月1日

メンタルヘルスの健康度

メンタルヘルスと一口に言っても、何を指標に心の健康度を考えていけばよいでしょうか?

(1)夜ぐっすり眠れて、朝起きたとき気分が良い
(2)食事がおいしいと感じられる
(3)体が軽やかで、健やかに感じられる
(4)家族との会話もスムーズであり、問題はない
(5)友人や仲間との良好な関係を築けている
(6)趣味やスポーツなどを楽しむことができる

(1)~(3)は活動に要するエネルギーが充電されているか
(4)~(6)は心の外界(環境や人間関係)、心の内界(感情、欲求など)が機能しているかを表しています。体調と心は常に一体ですので、両面から心の健康度を捉えることが重要です。

職場のストレス要因(ストレッサー)

働く人々を取り巻くストレスには、以下のようにたくさんの要因があります。

 

過度のストレスによる病的反応(ストレス反応)

過度のストレスにさらされてくると、人間はストレス反応という危機的な反応を示すようになります。
「身体面」・「精神面」・「行動面」で様々な症状が現れます。

身体面

自律神経症状

不眠、頭痛、動悸、息苦しさ、喉の詰まり感
嘔気、めまい、食欲不振、腹痛、下痢、便秘

心身症

生活習慣病(高血圧、糖尿病など)胃潰瘍、十二指腸潰瘍、不整脈
喘息などのアレルギー、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、月経前症候群

 
精神面

情緒不安定

神経過敏、感情の波が大きくなる、不安感、不機嫌、いらいら

性格変化

口数が減る、暗くなる、無気力、落ち着きがなくなる、怒りっぽい

精神障害

不安障害:神経症/感情障害:うつ病、躁病/思考障害:統合失調症

 
行動面

勤怠の乱れ

欠勤、遅刻、早退の増加

業務遂行能力の低下

集中力の低下、作業能率の低下、ミスの増加

対人関係の悪化

協調性低下、もめごと、孤立

日常生活の乱れ

生活時間の不規則、睡眠時間の乱れ、生活態度の乱れ

逸脱行動

アルコール依存、ヘビースモーク、性トラブル、暴力、嗜癖(しへき)行動

 

季節とメンタル不調~5月病~

新入社員

5月は、新入社員が研修を終えて、新しい仕事に就くことになります。こうした時期に想像していたことと違ったり、学生時代のような同世代との交流ではなく、世代を超えた人間関係づくりや、社会的責任を求められたりと、これまで以上のストレス要因にさらされることで、ストレス反応を起こしやすくなります。

働く人全般

連休明け、新年度で張り切っていた緊張の糸が切れて、6月・7月と休日の少ない月が続く中で、また頑張らねばとプレッシャーの高まる時期でもあります。新しい環境への適応、エネルギー消費の緩急など、ストレス要因の高まりやすい時期ですので、ストレス反応が起こりやすくなります。

ストレス耐性

ストレス耐性を高めることで、ストレス反応を起こさないようにします。

 

ストレス耐性を高める

ストレスは少なければ良いというものでもなく、適度なストレスが意欲と成長を促します。少なすぎるストレスはやる気を失ってしまい、多すぎるストレスは病気をもたらします。ストレス耐性をAからCに上げると、現在のストレスが重荷のレベルから成長を促すレベルへと変わっていきます。

ストレス耐性を高める要素(ソーシャルサポート)

良好な人間関係は、精神的に大きな支えとなります。ただし、職場においてはちょっと工夫が必要です。プライベートでは温かく・優しく・丁寧に接するように心がけますが、仕事では“ビジネスライク”を意識し、求められる役割をしっかりと遂行することが大切です。

仕事でコミュニケーションを取る際は、“何が”問題なのか や “誰が”行うのかなど、主語・述語を明確にしましょう。また、日頃から報告を習慣づけると報告の流れで相談もしやすくなります。立場が上の方は部下やメンバーへ「何かあったら、相談してね。」と伝えても、相談するタイミングがわからなかったり、いきなり相談できない方がいたりすることもご理解ください。

ストレス耐性を高める要素(ストレスコーピング)

ストレスコーピングとは、ストレスに対する対応の仕方です。

 

積極的ストレスコーピング(健康的な現実的問題解決)

直面しているストレス状況(ストレッサー)を受け止め(適切な認知)、できることから取り組もうとしたり、協力を得られる仲間と話し合っていったりなど現実的な対処方法を行っていくことです。

消極的ストレスコーピング(逃避行動による問題解決)

ストレッサーへの適切な認知ができず(認知のゆがみ)、適切な対処を行うことを避け、アルコール・喫煙・過食・過剰ショッピングなどの逃避行動をとることです。嗜癖(しへき)傾向に陥りやすく、依存症となってしまうこともあります。

認知行動療法
ストレスが過大な状態では余裕がなくなり、職場・家庭・学校の人間関係や環境からの刺激を適切に認知したり、対応することができなくなったりします。これに対して、より適切な認知や対処行動へと修正していく方法です。一般書も多く出ており、自分でも出来ます。

ストレス耐性を高める要素(リラクセーション・リフレッシュ)

リラクセーションは、仕事の特性と反対の性質をもった趣味や楽しみがあると効果的です。

自律神経をコントロールする

歌う・笑う・美味しい食事
音楽や笑いや美味しい食事は、リラックスモードである副交感神経を優位にすることで、心の落ち着きを促し、セロトニンの分泌量を活性化します。

運動
運動は、肉体に適度な緊張を持たせることで、活動モードである交感神経(ノルアドレナリン)の機能を適正化します。運動終了後には容易に副交感神経優位となり、セロトニンの分泌量を活性化します。

呼吸法、自律訓練法、ヨガ
自律神経が支配する内臓諸器官の中で、唯一自分の意思でペースをコントロールできるのが“呼吸”です。これらは少し学びが必要ですが、自律神経を整え心身の安定を図る良い健康法です。

おわりに

自分にあったメンタルヘルスセルフケア方法を見つけておきましょう。

(例)
・自分の生活リズムをつかみ、早寝早起きする
・取り組みやすい仕事と難しい仕事を交互に行う
・タイムマネジメントを積極的に行い、自分のための時間も確保する
・仕事での苦労や困難も経験値を高める学びとする
・ストレスに合った気分転換を行う
・休暇をしっかり取り、ストレス解消にふさわしいプランを立てる