産業医 コラム

眠りの「質」を高めよう! 睡眠と生活習慣病の関係とは?

2019年7月3日

良質な睡眠は心身の休養、健康維持に不可欠です。一方で、わたしたちを取り巻く現代社会は、働き方やライフスタイルの多様化に伴い、睡眠や体内時計に変調を引き起こす様々な要因が溢れている状況といえます。今回は健康対策と睡眠について考えます。

眠りのメカニズム

わたしたちは毎日ほぼ同じ時刻に眠り、同じ時刻に目が覚めます。このような規則正しい睡眠リズムは疲労による「睡眠欲求」と体内時計に指示された「覚醒力」のバランスで形作られます。
睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなりますが、いったん眠りに入ると睡眠欲求は急速に減少し、その人にとって十分な時間眠ると睡眠欲求は消失し、覚醒します。覚醒力は普段の就床時刻の数時間前に最も強くなり、その後メラトニンが分泌される頃(就床時刻の1-2時間前)急速に低下します。

また、睡眠にはサイクルがあります。夢を見る「レム睡眠」と大脳を休める「ノンレム睡眠」が約90分周期で変動し、朝の覚醒に向けて徐々に始動準備を整えます。

睡眠障害と生活習慣病

以前より生活習慣病患者さんでは睡眠時無呼吸症候群や不眠症の方が多いことが知られていました。その後の研究によって、睡眠障害が生活習慣病の罹患リスクを高め症状を悪化させることや、その発症メカニズムがわかってきています。

例えば睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、夜間の頻回の呼吸停止によって「低酸素血症と交感神経の緊張」「酸化ストレスや炎症」「代謝異常」などの生活習慣病の準備状態が進み、その結果として5~10年後には高血圧・心不全・虚血性心疾患・脳血管障害などに罹りやすくなります。

良質な睡眠を得るために

睡眠を悪化させる生活習慣として、不規則な食事、運動不足、喫煙、アルコール多飲などが知られています。
該当される習慣をお持ちの方はぜひできることから改善に取り組んでみて下さい。
また、この機会にご自身の睡眠を取り巻く環境(寝具)、寝室内環境(温度、湿度、光、音)について見直してみましょう。

 寝具(枕、ベッドマット、布団)
 □ 枕の高さ:ベッドマットや敷き布団と首の角度が約5度になるのが理想的
 □ ベッドマット、敷き布団:適度に硬い方が良い
 □ 掛け布団:保温性、吸湿性、放湿性、軽さ、フィット感

 寝室内環境(温度、湿度、光、音)
 □ 温度:夏場 約25℃~26℃ 冬場 22~23℃
 □ 湿度:50%~60%
 □ 光:遮光カーテンや天戸を利用し、光を遮断
 □ 音:寝ている間は音楽等聴かず、できるだけ静かに

最後に

質の良い睡眠をとることは、健康生活の基本です。
生活習慣や睡眠を取り巻く環境を改善しても、睡眠について満足できない、あるいは問題を感じておられるという方は、医療機関へご相談下さい。