産業医 コラム

みんなで理解を深めよう!女性の健康問題~更年期障害~

2019年9月3日

更年期障害とは?

閉経の時期をはさんだ前後数年ずつの約10年間(一般的に45〜55歳頃)を「更年期」といいます。更年期には卵巣の機能が低下し、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少していきます。その結果、ホルモンのバランスが崩れ、月経周期の乱れやエストロゲンの欠乏により心身にさまざまな不調があらわれます。
症状の種類や強さは個人差がありますが、更年期のさまざまな不調を「更年期症状」といい、仕事や家事など日常生活に支障をきたしてしまうほどの重いものを「更年期障害」といいます。

更年期症状

更年期はエストロゲンの急激な低下により体に様々な変調をきたします。更年期症状はいわゆる不定愁訴(※)に属する症状が多く、症状の強弱には精神的要素が関係しています。「精神神経症状」と「血管運動神経症状」および「その他の症状」の3つに分類されます。更年期障害の症状の多くは自然に軽快するとされています。
※不定愁訴とは・・強く主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態を指す。  

更年期症状と間違いやすい主な病気

憂鬱になる、意欲がわかない、体もだるいなど、更年期障害には精神的な症状が少なくありません。まず精神的な疾患かどうかを見極めることが大切です。
更年期の不調に似ているのが、甲状腺機能異常です。主に、甲状腺ホルモンの分泌が不足する「甲状腺機能低下症」(橋本病など)と、甲状腺ホルモンが多すぎる「甲状腺機能亢進症」(バセドウ病など)があります。前者では冷えや倦怠感、後者ではのぼせや発汗など、更年期症状と同じような症状を示すことがあります。
そのほか、子宮頚がんや子宮体がんなどの婦人科がんの初期のサインは不正出血ですが、これを更年期の月経不順と思い込んで放置してしまうケースもあり、注意が必要です。

更年期障害の対策

食生活

更年期には、女性ホルモンの急激な減少の影響により、さまざまな不快症状が現れることがあります。又、エネルギー、脂質、骨の代謝も変化し、栄養が過剰あるいは欠乏状態になりやすく、心身の健康バランスをくずしやすくなります。
そこで、更年期の女性に適した食事や食生活とはどんなものか?という問いに対する答えを突き詰めていくと、やはり「バランスのよい食事」が一番肝心である、という答えにたどりつきます。

また、女性ホルモンと似た働きをする成分として注目されているのが、大豆イソフラボンです。大豆は食物繊維やオリゴ糖も多く含み、加齢とともに乱れがちな腸内環境を整えてくれる上、骨を強くするカルシウムも豊富です。

運動

今日では適切な運動習慣が更年期にも有効であることが明らかになってきました。国内では、更年期障害を有する女性において自転車エルゴメーターによる運動、ウォーキングや水中歩行で「更年期症状の重症度を表す指数が、運動前に比べて明らかに下がった」という結果が報告されています。
海外でも同じくウォーキングを中心とした有酸素運動やヨガでも効果があったという結果が出ています。

サプリメント

サプリメントのメリットとして、手軽にいろいろな栄養素のものが手に入ります。女性ホルモンの働きを助ける成分にはいくつかの種類があるため、自分に合ったサプリメントを選んでみましょう。

更年期障害の治療

ホルモン補充療法(HRT)

Hormone Replacement Therapyの略で、低下したエストロゲンを補う治療法です。
エストロゲン欠乏によるのぼせ、ほてり、発汗、性交痛などの症状はもとより、気分の変調や関節痛など更年期以降の様々な症状を改善するなど幅広い効果が認められ、QOLの向上にも大きな貢献が期待できます。
HRTは閉経後どのくらい経つか、子宮があるか、出血を望むかなどによって、使う製剤と使用パターンが違います。

▼HRTの種類と特徴

HRTスタート時には不正性器出血・吐き気・乳房のはりの症状が出ることがあります。また、長期でのHRTは乳癌発症リスクを高める可能性があるため定期的な乳房の検査が必要になります。

漢方薬

漢方薬は、その患者の体質、体型や自覚症状などを総合的に判断して、症状ごとにどの漢方薬を使うかが決まります。

抗不安薬・抗うつ剤

抑うつ気分は多くの人が更年期に経験する症状ですが、気分の落ち込み、不安感や焦燥感が強い場合は、抗不安薬・抗うつ薬などの向精神薬も有効です。

最後に

女性の活躍に注目が集まりますが、女性特有の健康問題についてはあまり理解が深まっていません。 
コラム等を通じ、是非皆さんで理解を深めていきましょう。 体調面で心配なことがあれば、お気軽に医療機関までご相談ください。